「食べる」ということは「生きる」ということ
食べるということは実はとてもすごいことなのです。
食べるということは本能の1つです。
人と食事をすることで、他者とのコミュニケーションツールにもなります。
美味しいものを食べると幸せに感じることができます。
相手に食事を作ることで、相手を幸せにすることもできます。
これだけでも「食べる」ということがいかに偉大なことかを感じますね。
食べられない苦しみは想像を絶する
治療を始める前に、患者さんに対して治療中に起こりうる副作用についてあらかじめ説明を行なっています。
しかし説明用紙を用いて、口が酸っぱくなるほど説明を繰り返しても、副作用の本当の辛さというのはなかなか伝わりにくいんですね。
私は毎回そこでつまずいてました。
新規の入院の患者さんが決して「こんなはずじゃなかったのに」と思うことがないように、できるだけ伝わるように説明を繰り返す…
説明のしすぎで口の中が酸っぱかったです。
それでも副作用が出てきた後、あまりの辛さに精神的ダメージを受ける患者さんはいます。
私が見てきた中で特にしんどい副作用は「食べられないこと」です。
なかでも口内炎と味覚障害は説明をしてもその辛さが伝わりにくい副作用の代表格だと私は思ってます。
食べたいという欲求があるのに、口の中が痛くて食べられない。
食べても味がしない、それどころか粘土や土を食べているような感じがする。
患者さんはよくそう言っていました。
それってとっても辛いですよね⁇
お腹すくのに食べられないって辛い!
粘土や土なんて美味しいはずがない!
食べられることは当たり前ではない
私は妊娠時のつわりが酷く、5ヶ月ほどまともに食事ができませんでした。
食べてもほぼ吐いてましたね…
化学療法で苦しんでいる患者さんは大変だなぁ…と思いながら吐き気と戦ってました。
食べるのが大好きな私が何も食べない、食べられない。
想像以上に食べられないって辛かったです。毎日泣いてました。辛すぎて。
誰が悪いわけではないのに、女ばっかりつらい目に!とかなんで男はラクしてるの!とか、辛さのあまり理不尽なことを考えてました。
主人は私が苦しんでる姿を見てだいぶ落ち込んでましたね。
入院しなくていいの?って聞かれました。
そこまでではないです(*_*)
ひどい人はもっとひどいから。
それにしても
食べられるって当たり前のことじゃないんだな
食べられる幸せ
産んだ瞬間、お腹空いたのを今でも思い出します。
胃を圧迫していたものが外に出たら、驚くくらいお腹空いて…産後の食欲すごいです。
生きてるっていう実感が湧きます。
食べられなかった時は生きた心地しませんでしたから。
妊娠、出産を経験して、化学療法を頑張っている患者さんに、「少しでもいいから食べて」と簡単に言うべきではないなと感じました。
いい学びになりました(´∀`)